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早乙女花 -アトリエN- [アトリエN]

 白とピンクの小さな花を夏の風に揺らしながら、早乙女花は考えた。
 「いやな虫たちが私を食べようと狙っているわ。むざむざやられてなるもんですか。」
 では、どうしたらいいのだろうか?蔓をもっと太く硬くするのも、鋭い棘を生やすのも、フェンスに巻きつくには都合が悪い。
 思案の果てに早乙女花は奇想天外な自衛策を考え出した。『ペデロシド』という化学成分を体内に溜めこむことにしたのである。
 心得違いの虫どもが茎や葉に喰らいついて傷つけると、それは分解してメルカプタンというガスになり、強烈な悪臭を放つ。
 いくら虫でも臭いものは臭いのだ。みんな閉口して逃げ出してしまった。
 ふふん、どんなもんよ、食べれるものなら食べてみなさい……と、いまはやりの「ら抜き言葉」で早乙女花は得意顔。
 ところが、思いもかけぬ挑戦者が現れた。
 「おう、有難く戴いてやろうじゃないか、姐ちゃんよ」と言ったかどうかは解らないが、その虫は早乙女花をむしゃむしゃとたいらげ、挙句の果てにメルカプタンまで自分の体に取り込んでしまった。彼の天敵であるテントウムシもこれには降参である。
 早乙女花は、別名ヘクソカズラ。なな山では、バス通り際のフェンスに巻きついているのを見ることができる。
 敵役の虫はヘクソカズラヒゲナガアブラムシ。
 それではヘクソカズラはアブラムシに食い尽くされたのか?
 テントウムシに捕食されなくなったヒゲナガアブラムシは大繁殖したのか?
 決してそうはならない。
 独り勝ちを許さないのが自然界の掟なのである。
 そんな掟なぞどこ吹く風でわが世の春を謳歌しているように見えるヒト族だって、決して例外では有り得ないと思う。
 だって有史以来、こんなにも同族同士で殺し合いをしてきた種は、ほかにいないであろうから。
  N田さん

ヘクソカズラ.jpg
早乙女花(ヘクソカズラ)。提供:「写真素材足成」(www.ashinari.com)

ヘクソカズラヒゲナガアブラムシ(weblio辞書)
http://www.weblio.jp/content/%E3%83%98%E3%82%AF%E3%82%BD%E3%82%AB%E3%82%BA%E3%83%A9%E3%83%92%E3%82%B2%E3%83%8A%E3%82%AC%E3%82%A2%E3%83%96%E3%83%A9%E3%83%A0%E3%82%B7

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