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おかいこさま -アトリエN- [アトリエN]

 讒言(ざんげん)にあって筑紫の大宰府に流された右大臣・菅原道真は、死後、怨霊となって御所に災いをもたらした。これを鎮める為、彼を天神様に祀り上げたが、天神様すなわち雷神というので、落雷は菅原道真の仕業であると信じられるようになった。
 「くわばら・くわばら」というのは雷除けの呪文だが、これは道真が近畿地方に所有していた桑原のことを指していて(ここはあなたの桑畑ですよ・雷を落とさないでください)という思いを込めたものだったのだろうか。
 奈良・平安の時代に中国からもたらされた養蚕の技術が国中に広まって、蚕は「おかいこさま」と呼ばれ、明治新政府などは群馬県富岡町に官制の製糸場を設け、そこで教育をうけた士族の娘たちが全国に近代の製糸技術を広めた。昭和初期には、生糸は日本の輸出額の40%を占めるまでになり、この国の近代化を下から大きく支えたのである。
 いまでは化学繊維に圧されて産業としては見る影もないが、今日でも趣味的に蚕を飼う人たちがいて、一心に桑の葉をむさぼる幼虫たちの、野面を叩く驟雨(しゅうう)のようなその音がかわいいと聞き惚れているそうだ。クワ科のコウゾが和紙の原料に使われるように、しっかりとした植物繊維が蚕の吐く糸の勁さとしなやかさのもとになるのだろうか?
 皇居紅葉山養蚕所では、皇后陛下がいまでも古い品種の蚕を育てておられるそうだ。
 なな山の入り口近くに桑の木が立っている。
 4月から5月にかけて黒紫色の実をつけ、食べてみると、ほんのりと甘酸っぱい。
 三木露風の作詞になる「赤とんぼ」には、♪山の畑の桑の実を小篭に摘んだはまぼろしか♪という一節があるが、ついこの間まで農家の貴重なおやつであったのだ。
 現代の子供たちに一度味あわせてみたいものである。
 閑話休題。
 昔見た東宝の特撮映画「モスラ」では巨大な蛾の幼虫が、東京タワーのアーチの下に糸を吐いて繭を作る場面があった。東京タワーのあの形状だからサマになるが、ノッペラボーな東京スカイツリーでは、モスラもどこに繭を作ったものか、悩んでしまうだろう。
モスラのためにも、東京タワーよ永遠なれと願うのは、私だけであろうか?
 「そんなとぼけたことを考えるのはお前だけだよ」だって?
 たしかに・・・・・・。
  N田さん

クワの葉に乗った蚕.jpg
クワの葉に乗った蚕。提供:「イラストAC」https://www.ac-illust.com

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