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父と母の湖 -アトリエN- [アトリエN]

 スペイン王との契約により、インドのスパイスとジパングの黄金を求めて大西洋を渡ったクリストバル・デ・コロン(コロンブス)は、南北アメリカ大陸に行く手を阻まれて目的を果たせず、スペインの小さな町アリャドリードで失意のうちに55歳の生涯を終えた。
 彼にとってのもう一つの不幸は、彼の船団が到達した大陸のことをインドの一部であると終生信じていたために、『アメリカ』というその名前も、インドではなく未知の大陸であることを証明したポルトガルの冒険家、アメリゴ・ヴェスプッチの名から取って名付けられたことである。
 今日ではコロンブスの偉業を疑う人はいない。それは彼と、彼が開拓した大西洋航路を使って新大陸にやってきた白人たちがヨーロッパに持ち帰ったものによる、文化的衝撃の巨きさによるものと言えよう。
 旧大陸が新大陸にもたらしたもの、それは天然痘や結核やインフルエンザであり、徹底的な略奪であり、先住民インディヘナの大量虐殺と強姦であった。
 それに対して新大陸からの返礼は、ジャガイモ・トウモロコシ・インゲン・カボチャ・トマト・トウガラシ・タバコ・チョコレートの原料であるカカオ豆・ゴム・チクロ(チューインガムの原料)など、それに七面鳥と梅毒であった。最後の二つを除けばいずれもヨーロッパ社会を一変させ、世界史に大きな影響を与えたことは疑いないが、あまりにも釣り合いのとれない取引であったとは言えないだろうか。
 トウモロコシとジャガイモは世界の4大作物のうち二つを占めているし、タバコはあっという間に世界を席巻した。航空機は、ゴムなしでは離着陸ができない。
 コロンブスは新大陸の発見者であるという言い方は、最近ではあまりされない。それはサンタマリア号の400年も前に、ヴァイキングで知られる古代スカンジナビア人がニューファンドランド島に越冬基地を残していたことにもよるが、実はそれより何万年も前に、凍結したベーリング海をわたって、我々日本人の祖先でもあるモンゴロイドの一団が南北両アメリカ大陸に移住していたのである。
 そのため、東北アジアとアメリカには共通した言語が散見されるという。
 高度4000メートルのアンデス山地に広がるチチカカ湖は、文字通り『父と母の湖』であると、むかし気まぐれで習ったスペイン語の先生から聞いたことがある。
 トウガラシは原産地であるインカの言葉でアヒー(aji)というそうだが、はじめて口にしたモンゴロイドの舌にとっては、余程辛かったのに違いない。
  N田さん

コロンブス.jpg
イラスト提供:イラストAC https://www.ac-illust.com/

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